・真田丸
しょっぱなから正信と信之が添い寝……だよね、たぶん。おじいちゃんよく寝る。
ここで大坂城にカメラを移すと、厨の大角与左衛門が、娘を秀吉に手籠めにされ妻共々自殺している復讐のために秀頼を滅ぼそうとしているという重い事実をぶちまけ、与八を殺すのにも使った金串で腹を突きます。ここで信繁がトドメを刺さなかったのは、「自分が家康を殺そうとしているのも、春を戦で殺されたから→自分と同じ復讐者である与左衛門を殺すのは、信繁の自己否定になる」という説もありました。
ていうかそもそも、与左衛門に聞かれている場所で堂々と密談していた信繁が悪いですし、信繁には、身分の低い相手が一人一人の人間として見られなかったのでは。昌幸の「軍を塊として見ずに一人一人の人間として見よ」みたいな言葉を有効に使えなかったのは……いや、そもそも、昌幸なら大坂城に入っても、自分から信之や信尹にとっとと内通してたかもしれませんしー。
そして信繁が毛利と一緒に出陣。信繁の部隊は
その頃大坂城では、金串では死ななかった与左衛門が、信繁が内通していると嘘の警告を発します。まあ、いくら秀吉の馬廻をしてたといっても豊臣家には外様で、しかも徳川方の叔父や兄とも何やら会ってた信繁(あああ又兵衛メソッドー!)よりは、昔から仕えてきた与左衛門の方が信頼できますよね。その結果秀頼はフリーズしてしまい、出陣できません。
城外の治長は、秀頼に出陣してもらおうと戻る際に、うっかりと秀頼の馬印を持ち帰らせてしまい、大坂方の牢人達は秀頼が負けたと思い込んで総崩れ。おまけに与左衛門が天守に放火して、豊臣方が崩れたのを見た家康は、ここを好機と見て素早く立て直しに動きます。幕府軍は大坂城の奥まで踏み込み、作兵衛も畑の上に倒れました。
で、
二人は
――は、
佐助の努力で信繁は何とか逃れますが途中で力尽き、襲ってくる敵を昌幸仕込みの隠し武器で倒しはしますが、最後に短刀を構えて目を閉じて――信繁の現世の旅は、縛られた六文銭とともにここで途絶えました。
しかしきりちゃんは、千姫を無事に家康と秀忠の所へ届けます。秀次もガラシャも救えなかったきりちゃんでしたが、ようやく一人の女性を救いました。……まあ、あの秀頼と千姫の冷えた関係では、千姫が秀頼の助命嘆願なんかするわけありませんし。
信之お兄ちゃんは、正信に連れられて領地を訪れ、為政者としてのアドバイスをもらいます。まあ昌幸もその辺の話は昔からしているはずですが、
そこに来た使者から、恐らく大坂落城の知らせを聞いた正信。信之に「すまんな。本当にすまん」という感じのそぶりをしていたのが印象に残ります。信之の手元には、縛り付けられていない六文銭。
そして、大坂の落城は信繁の幕引きではあっても、信之にとってはまだ人生の折り返し地点。信之が率いる「真田丸」は、太平の世の海へ航跡を引きながら去っていきました(この後で信之は、信繁に味方した真田家の家臣達を反逆者として処分していますが、まあ置いといて)。
最後に佐久間象山を挟み込んできたのはいきなり感もありますが、脚本が同じ人の「新選組!」も見てよねーというメッセージじゃないかという話も。
もともと劇はあまり見ませんし、当初は「真田? 別にいいよ。どうせ家康を悪者にして、史実ではいい大人で側室と子供こさえてた秀頼をかわいそうな子扱いするんでしょ」くらいに思っていましたが、冒頭からぐいぐいと歴史好きを引き込んでいく話だと聞くうちに、戦国時代らしく非情だが家族と部下を大切にする昌幸パパ、翻弄されながら成長する信幸/信之お兄ちゃん、逞しい戦国の祖母・おとりさん、ぽけぽけな薫ママ、底知れぬ暗黒の日輪のような陽気さと恐ろしさを放つ秀吉、栄達に心がついて行かずに破滅する秀次、権力者に取り入ってもどこか優雅さと抜け目なさがある政宗、生真面目だがかたくなな心で運命が狂っていく三成、そんな三成を放っておけない吉継、すれ違いが重なり友情が引き裂かれる清正、だらけっぷりが憎めない平野さん、普段は気弱だがいざという時に度胸を決める家康、いつもアグレッシブな忠勝、呼吸するように切れ者な正信、頼りなかった所から次第に成長していった秀忠、終盤に出たのに魅力的だった盛親や団右衛門達、大坂城を死の闇へ誘うような破滅を匂わせた茶々、ただお姫様の事しか頭になかった大蔵卿局、偉丈夫ではあるが結局は偉丈夫でしかなかった秀頼、各自が個性的な信繁の妻達、ストーリーの狂言回しにして視聴者視点でもあったような「霧隠才蔵がモデルでは」と思わせるきりちゃん、そんな一同の波乱万丈に目を離せませんでした。
特に終盤は、史実の大坂方の絶望的などうしようもなさを踏まえながら、それでも大坂方に感情移入できるという神業。本当にどうすればここまでできるのでしょう。
結論はTwitterで見掛けたとおり、「手籠め ダメ 絶対」。もしくは「だいたい秀吉のせい」。
・おんな城主直虎
……を書こうと思っていたのですが、もう時間がないのでまた別の機会に。